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人類最強の再会

  • 執筆者の写真: 三時 伊藤
    三時 伊藤
  • 2018年10月5日
  • 読了時間: 3分

最近寝付きの悪さに悩まされているため、起きる時間はことごとく遅い。午前十一時になってようやく起きて着替えをし、昨日ブックオフに行って買った本の整理をしていた。値札シールを剥がして本棚に並べる。手垢すら付いていないような本もちょっとボロい本もここにある。そこに中古の本を並べていく。本を買わずとも時々やるが、時々気持ち悪くなったりもする。記憶は物質に棲みつく生き物だ。だからこそ、その本にまつわる全ての記憶を思い出してしまって辛くなることがあるのだ。本には悪いが仕方ない。それに、本に対しては全ての感情は愛であると定義することで解決出来る。 新しく買った本を並べる。ただそれだけの作業なのに、運命か、はたまた偶然か、少し驚くことが起きた。 何と言いあらわそうか。 とりあえずこの場では、人類最強と再会を果たした、と言おう。 『人類最強の初恋』という西尾維新の小説がある。読者の方々はご存知だろうか。化物語などを好く人が周りに多いのは知っているので、もしかしたら分かるかもしれない。どちらかといえばライトノベル調の小説である。 私はこの本をかなり前に買って読んでいた。一年以上前に購入したと思う。 本を読むのはなかなか体力を使うもので、ゲームで言うならHPの回復にはMPを使うのと同じだ。今まで読んできた本は全て読み切ったわけじゃない。読み切れずに売った本も結構あるわけである。 しかし私、どうにもこの本が最近気になっていた。前に探して、売りに払ったことに気付いてかなり後悔していた。基本的にライトノベル寄りの本ばかり読んでいるため読めなくはないのに何故読めなかったのか。また買おうかくらいには思っていた。今ならきっと読み切る体力もある。あったらいいな程度でなんとなく探していた。その本はあった。 そして今に至る。 この本を買ったことをどうして『再会』とまで言い切れるのか。それは栞代わりに挟まれたあるものが決定打だった。 確かこれも一年前のことだ。 私は金木犀が好きだ。金木犀の香りは何か魔力でも持っているに違いない。あの甘い香りは不思議と花の近くでは分からず、少し離れたところだとはっきりと分かるものだから不思議だった。 私はその金木犀の香りの香水が欲しくて、新宿のルミネエストの中を歩いて友人と探し回った。この中には確か香水専門店があり、そこの金木犀の香水は香りが金木犀にとても近いという評判を聞いていたのである。 残念ながら香水を買うまではいかなかった。五千円くらいの値段の香水は少しお高い。店員さんに代わりに頂いたのが、テスター用の紙だった。紙には香水が吹きかけられていて、金木犀の香りを楽しむことが出来るという仕組みだった。そして私はそのテスターの紙を、その時持っていた本に挟んだと言うわけである。 人類最強の初恋に、挟まれた栞代わりの紙。裏を見ると『キンモクセイ』とオレンジ色のペンで書かれていた。僅かながらに残る香りはあの時の金木犀の香りがした。同じことをしている人は居ないと言っても過言じゃない。これは間違いなく私が手にしていた本だった。 本が人を呼ぶなんてことはあるんだろうか。そういえば金木犀の香水も最近気になっていた。 続きを読もうと開いたページに、金木犀の香りは僅かにうつっていた。あり得なくはない、かもしれない。 とはいえ私は結果的に、人類最強との再会を果たしたわけであって、何かあるんじゃないかなぁと変なことを考えてしまっていた。


 
 
 

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