病院と狼と羊
- 三時 伊藤
- 2018年10月6日
- 読了時間: 4分

前から予約していた病院に行った。前に紹介状を書いてもらった所だ。 ここで耳鼻咽喉科にまた行くことになってしまった。音声外来に行くという話は一体何だったのであろうか。音声外来はなかなかやっていないようで、とりあえず耳鼻科で再び診察を受けることになっているらしい。一回受けたのにもう一度やるなんて耳鼻科にトラウマを持っている人間には厳しい。 今回も今回で過酷過ぎる。今回はカメラを口から入れる気だったようだ。ただ口の方は反射が強い(えづいてしまったり咳き込んでしまう場合反射が強いとするらしい)ので鼻から入れると言われた。またか。口はまだ分かるが鼻は物を入れるところではない。液体を勢いよく入れるところではないし、よく分からないチューブ状のカメラを入れるところでもない。 乱文になってしまったが私はそれくらい耳鼻科が苦手だ。二度と行きたくないと毎回思う。音声外来でも同じようなことをされるようであれば二度はおろか一度も行きはしなかっただろう。ただまぁ『耳鼻科に行きたくない』で済むことをこんなに長々と書けるのは文章を書いていて良かったなぁと思う。いや、良かったのか? 耳鼻科って本当に一体何なんだ。 意味が分からない。 そんな診察と言う名の地獄の拷問が終わった後、御茶ノ水近くの病院であったので私は少し散策することにした。駅前でアートピクニックというイベントをやっていたので観ることにした。レジンアクセサリーや絵、豆本、サイコロの入る鳥籠、本当にとにかくいっぱいあった。立ち並ぶ机の上に置かれたものは、どれも愛おしくて魅力的だ。思わず画材を買うことを忘れて魅入ってしまう。中には豆本作りや、なんとロゴデザインまで体験出来てしまうブースもあり、なかなかの盛況だった。ロゴデザインが体験出来るなんて初めて見たので驚いて思わず足を止めてしまった。 路上ではチョークを使って落書きをする子供がいたり、なんだか日本じゃないような自由さが溢れていた。 いくつか出展しているアーティストがいる中、その中でも磯野キャビアさん(@isonocaviar)の作品に目を惹かれた。 原画を印刷した缶バッジや、画像のような小さなキャンバスを販売していた。 繊細に描かれたこの動物は、なんとボールペン画なのだ。筆談でも気さくに応えてくれて本当に嬉しく、ついいっぱい聞いてしまった。 サイズまで聞くのを忘れてしまったが、どうやらA6くらいのサイズであれば2〜4日ほどで完成するらしい。凄いと思う。絵の描けない人間としては尊敬を越えてもはや眩しさすら感じる。ボールペン画歴はおよそ五年だそうだ。私は磯野キャビアさんの小さなキャンパスを二つイーゼル付きで買った。机の横に並べるものがまた増えてしまって、整理をしなくてはいけなくなってしまった。嬉しい悔しさである。 小さなキャンバスに描かれた狼と羊を並べる。あまり考えなかったが、よく考えたら食う者と食われる者だ。羊の方は喰われることも知らずほんわかしているのに対して狼は今にも飛びつきそうな程の眼光を放っている。けれど決してその面から出てきて狼が羊に食らいつくことも、暗闇の中で正体も知らず仲良くすることもない。本当は交わるはずなのに世界が違うならと、色合いも描かれたものも正反対なこの絵を、私は並べて飾ることにした。 小さなイーゼルを飾る位置をどこにするかを決め、髑髏や文字を描いていた。ふと病院で、本でも読んで引きこもっていろと言われたのを思い出した。 まず原因から引き離す、本来なら治療とはそういうものなのだろう。確かにそうかもしれないが、私にはあまり効果はなかった。むしろこうして音楽を聴いてペンを取り、ひたすら何かを作って無言でネットに掲載する、それくらいが無心になれて良かった。ペンを持てば気分が悪くならない日はないが一番これが理想的であった。 身体も心もなんて私が求めるのは贅沢で、もしかしたら心が生きれば良いのかもしれない。楽しみ心を動かすのが一番の治療だと思う。
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