記録
大学の友人や後輩と話す時に筆談をするのだが、最近はスマートフォンのメモ機能を使うようになった。時々見返していて、その中でも私は面白いことを言っているな、思った以上に子供っぽいんだな、と思う事がよくある。
例えば、
『そのシャープペンね、
中学から使ってるの
そろそろ9年になるよ
不思議とね、他のシャープペン使おうとすると失くすか壊れるの
それも何度か失くしてるけど見つかってる
そういうこともあるし、魔法とか呪いとかってあり得ると思わない?』
これは友人にシャープペンシルを貸した時の会話文である。このシャープペンシルの特徴はまさに前述の通りで、見た目はボロボロで塗装や貼ったシールは剥がれている。それでもこのシャープペンシルは私が中学生の頃からの友人と言える。付喪神なんてものがあるが、もしかしたら見守ってくれる神様なのかもしれないと思う。
他にも、
『進化できない限り私たちは所詮芽殖孤虫(がしょくこちゅう)なの
幼虫のまんま無限に増え続けるんだよ
(芽殖孤虫は)致死率100パーセントの寄生虫
治療法がないの』
芽殖孤虫とは寄生虫の名前で、人間を宿主とした場合成虫になることが出来ず幼虫のまま無限に増殖を続けた上で人間を殺す生き物だ。日本での症例が最も多く、両生類や爬虫類を食べた人間が寄生されることが多いらしいがその実態は殆ど分かっていない。治療法は身体の中の寄生虫を全て取り除く事だが成功例がないので、治療法なし、実質は致死率100%ということである。
今この状態の人間は、個人的には幼体だと思っている。不完全変態を行っていた種だが退化してしまったか、まだ成体になれるはずなのに条件を満たせなくなってしまったか。そう思う理由だが、昔文献で読んだことがあるのである。人間は元々背中に翼の生える種であると。馬鹿げた話でも、私はこの話を酷く信じた。人間が愚かで醜いのは幼虫のまま蛹にすらなれないようなものからというなら納得出来るからだ。
ちなみにこのことについて書いてあるブログがあった。今現在はかなり辿らないとリンクまでたどり着けないようだ。検索してみたが、恐らく消されてしまったか何かで現在は読めなくなっている。
これ以上進化しない限り、人間は地球を蝕む芽殖孤虫だ。飛び立つために得ていたはずの翼を失ってしまった幼体固定の生物である。翼を得た人間はさぞ美しいのだろうと、画像フォルダに入った人間の化石を見て思うのである。例え嘘であっても。